2021.04.17複合機・コピー機の耐用年数は何年?減価償却率の計算方法
複合機やコピー機などの事務機器には、法律で耐用年数が定められています。
「そもそも耐用年数とは何なの?」「耐用年数が過ぎたコピー機は、使ってはいけないのか?」
そういった疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
この記事では、複合機・コピー機の耐用年数に関する基礎知識、減価償却資産とは何か、減価償却の計算式について解説しています。
複合機・コピー機の「法定耐用年数」についての入門編
結論から言うと、複合機・コピー機の耐用年数は、5年です。
なぜ複合機・コピー機の耐用年数は5年なのか、法定耐用年数とはそもそも何なのか。
法定耐用年数を超えてしまった場合はどうなるのか?
そういった疑問を解決するために、まずは基礎知識を理解しましょう。
法定耐用年数とは?
減価償却資産の税法で、固定資産の種類や構造・利用方法などにより、耐用年数が規定されています。
例えばパソコンであれば4年、エアコンなら6年というように、それぞれ使用可能な期間が定められています。
耐用年数は複合機やコピー機などの事務機器ごとに異なりますが、正確な耐用年数を予測することはできません。
そこで税法で、減価償却資産の耐用年数が大まかに定められています。
複合機・コピー機の耐用年数は5年
例えばオフィスに新しく複合機・コピー機を購入したら、5年間の法定耐用年数があります。
なぜ複合機・コピー機の耐用年数が5年と定められているかと言うと、印刷枚数300枚を基準にして算出されているからです。
法定耐用年数を超過した場合はどうなるのか
あくまで法定上定めた耐用年数のため、複合機・コピー機が購入してから5年を過ぎていても使用することができます。
複合機・コピー機の使用方法によって耐用年数が変わるため、多くのオフィスでは10年、15年と長期間にわたり使用しているケースが見られます。
会社の備品なので、定期的なメンテナンスで長く愛用しましょう。
反対に複合機・コピー機が5年以内に故障してしまった場合は、減価償却による減税ができず、会社にとって損失となる可能性があります。
減価償却資産の基礎知識
複合機・コピー機は税法で固定資産税が課されますが、複合機などは時間の経過とともに劣化するため、その価値も毎年低下していきます。
複合機・コピー機などのような財産を「減価償却財」と呼び、その時点の価値に基づいて減価償却率を算出します。
減価償却の計算方法で必要となるのが、「法定耐用年数」です。
ここでは、減価償却の基礎知識について理解しましょう。
減価償却とは?
コピー機・複合機などの「減価償却財」は、一度の購入費用ではなく、税法で定めた「法定耐用年数」で分けた分割払いとして計上する考え方です。
言葉だけでは分かりづらいため、具体的な例をあげて説明します。
例えば複合機の購入金額が100万円だったとして、耐用年数は5年間だったとします。
その場合は、購入した最初の年に100万円計上するのではなく、100万円を5年間に分けて、毎年20万円ずつ計上することになります。
購入した複合機の3年後の価値は、60万円の支払いが完了しているために40万円の価値に低下しています。
以上のように、長期間にわたり使用するために購入した費用は、初年度に全額計上するのではなく、法定耐用年数に基づいて分割して計上するという考え方が減価償却です。
そうではなければ損益を正しく計算することができず、初年度に赤字で、翌年以降は黒字になるといった事態になってしまいます。
減価償却率の計算方法は2つ
減価償却率は、定額法と定率法の2つの計算方法があります。
定額法
定額法の計算式は、「(取得価格-残存価格)×定額法償却率」で求められます。
毎年、同額ずつ償却する際に用いられる計算方法です。
取得価格には、購入金額だけではなく、購入するために必要な配送費用などの運賃と購入手数料も含まれます。
残存価格は、資産が処分される見込み額を表し、所得価格×10%で通常は計算されます。
複合機・コピー機の耐用年数は5年、定額法償却率は「0.2」になります。
例えば複合機・コピー機を50万円で購入した場合は、(取得価格50万円-残存価格5万円)×定額法償却率0.2=9万円と算出されます。
毎年、一定額である9万円を償却していきます。
定率法
残存価格を一定率で減価償却する計算方法で、「期首残存価額(取得価格-前年度までの減価償却費の累計額)×定率法の償却率」の計算式で求められます。
定率法では、初年度の償却費が最も大きくなり、経過年数とともに償却額が減少します。
定率法での償却率は「0.5」になります。
上記の計算式を当てはめて、50万円の複合機・コピー機を購入した場合の定率法は次のようになります。
1年目は、(購入額50万円-0円)×0.5=25万円。
2年目は、(購入額50万円-減価償却累計額25万円)×0.5=12.5万円。
3年目は、(購入額50万円-37.5万円)×0.5=6.25万円
以上のように、初年度が一番金額が高くなり、年数の経過とともに償却費が少なくなります。
定額法と定率法 どちらで算出すべきか
減価償却費の計算方法が2つあることで、会社の業績に合わせて税金を調整することができます。
会社を設立してすぐに大きな利益が上がる見込みがない場合は、定率法で算出すると赤字計上になる可能性があります。
そうなると、会社に投資する株主や銀行からの評価がマイナスになってしまいます。
そういった場合は、定額法で減価償却する方が良いでしょう。
会社を設立して、すぐに大きな利益が出る場合は、その分税金も高くなります。
そういった場合は、定率法で減価償却を算出することで節税対策になります。
ただし計算方法の変更は、定額法で減価償却を算出している場合のみなので注意してください。
どちらの計算方法を選ぶか迷っている場合は、定額法がおすすめです。
まとめ
会社にある複合機・コピー機などのオフィス機器は、会社の事業資産であり、減価償却資産として計上しなければなりません。
その計算式で必要になるのが、税法で定められた「法定耐用年数」です。
法定耐用年数を過ぎていても、複合機・コピー機は使用することができます。
節税のためにも、これらの知識をしっかりと理解してお役立てください。